「1回目で……諦めようと思わなかったんですか?」

「思ったよ。でも無理だった、だって好きなんだもん」

「、…」



それが……理由でいいの?


好きだからって理由で……諦めなくても、いいの?



「太一くんモテたから彼女がいた時期もあったけど……まぁ私の人生だし、好きでいるのは私の勝手じゃんって」

「、…」

「そう開き直ったら、気持ちがすごく軽くなった」



すごい。


先生、すごい!



「今は、どんな恋愛してますか?」

「今?」



もりりんと……ほんとに付き合ってるのかな。



「今は……年下の男と、熱愛中?」



やっぱり!


絶対もりりん!


絶対絶対、もりりんだ!



「先生の彼氏、たまに空気読めないよ」

「たまにじゃなくて、いつも」

「あははっ」



大人の先生は、幸せそうに笑う。


人生最大の恋が叶わなくても、こんな風に笑える恋に巡り合えるんだ。



「でも、なんだかんだ好きです、……せんせの彼氏、」

「アハ、なんだかんだね」



なんだかんだ、生徒のことを考えてくれてるのはすごく伝わる。


むかつくし、余計なこと言うし、怖いこと言うし。


でも……きっとそれも、未来のいい思い出の中にちゃんと入ってるから。



「後悔は、しないようにね」

「、…ハイ」



明日はいよいよ学園祭。


後悔はきっと、未来の思い出を(にご)すもの。


キレイな思い出を作るには……きっと、後悔しない今を作ることが、大事。