「ごめん、今スマホ壊れてんの。てか昨日、壊しちゃって」

「え、まじ?」

「ほら停電あったじゃん?そんときちょっとトラブルが」



トラブルじゃない。


あずりん先輩が、イラついて壊しただけ。



「なに、もしかしてなんかあっ…………あれ?」

「、…」



ここへ来て、なぜか私のほうを見た、春田先輩。


なに……


なんでそんな不思議そうな顔で、私を見るの?



「大ちゃんは?」

「、…」



なんで私に、聞くの……。



知らないし。


傷心中だから、その名前、聞きたくないんだけどな……



「今日は一緒じゃないんだ?」

「、…」



今日は、っていうより……今日も、だけど。


どうしてか春田先輩に会う時は、いつも一緒だったから。



「瞬くーん、高橋はねぇ、すぐるのじゃなくて私のなの」

「は?」



そんな話を大真面目に出来ちゃうのは、多分、あずりん先輩だけ。


だってカレーを食べながら、隣のヨッコとスー先輩は笑ってる。



「でも大ちゃん、さっき高橋さんのこと捜してたよ?」



え……



「渡り廊下で捜してたけど、会ってない?」

「…、」



そんなわけ、ない。


捜してる、わけがない。


昨日あんなことがあったのに、捜してるわけ……



泣きそう。


もうこれ以上、乱されたくないのに。



もう誰も……なにも言わないで。