「よし、着いたぞー」



家の前で止まった車。


家庭訪問に1回来ただけの家を、よく覚えてるなって、もりりんにちょっと感心した。


だけど感心なんてほんの一瞬。


そんな風に別のことを考えようとしたって、そんなの無理で……気分は下へ下へと沈んでいく。



「大ちゃん、ちょい待ってて」

「……ん。」

「、…」



私より先に、もりりんが車を降りる。


玄関に向かって行くのが見えたから、私も急いで車を降りようとドアを開けた。




「ななちゃん、」


「、…」



ドアは……ガチャって音がしただけで、手が止まる。


私……なにを言われるの……



「……辛い、……想い、」

「、…」

「……させて、……ごめん、ね。」

「…ッ、」



謝られた……のは。


私の気持ちには、答えられない、から。



「そんだけ……言いたくて、」

「、…」



終わった。


全部……終わっちゃった……



「……今、マデ……優しくして、くれて、」

「、…」



顔は……とてもじゃないけど上げられない。



「アリガトウ、ゴザイマシタ、…」

「…、」