「つーか手ぇ繋ぐのは立派な浮気だぞー。女は怖ぇぞー。幽霊より怖ぇぞー」
「……。」
フワリくんがなにも否定しないから。
やっぱり、付き合ってる。
だから手を繋ぐことは……浮気になる。
「まぁ浮気すんのは勝手だけど、俺のクラスの生徒には手ぇ出すなよ」
「、…」
「ん?高橋にはもう出したあと?」
「出してねぇ、し、!」
いつの間にか……怖いって感情は消えていた。
今はもう、この暗闇と同じくらい暗い感情しか見当たらない。
「出すなら他のクラスにしとけ。高橋泣かしたら退学にすっからな」
「、…」
教え子をただ守ろうとする担任。
だけど私は今、その担任のせいで泣きそうだ。
「高橋に迷惑かけんなよー。女が怒りをぶつけんのって、男じゃなくて相手の女だからな」
「、…」
「女子高生なんて、嫉妬の塊みたいなもんだしよ」
「……。」
「俺も昔ひどい目にあってよー。ちょっと他の女に手ぇ出したら即修羅場」
私に迷惑をかけるなって、もりりんは言うけど。
彼女がいるフワリくんに優しくされることは……私にとって、迷惑?
自分の気持ちが……わからない。
「手、とか、」
「……」
「出すわけねぇじゃん、」
「、…」
わかってた、けど。
そんな風に……宣言されると……


