「兄貴の巻き添えとかまじ勘弁」
「いいじゃんいいじゃん菊地弟、兄弟でリーダーシップ取っちゃえよ」
3年生の声に、菊地弟は大きすぎるため息を吐いた。
菊地弟はうちのクラスでもわりとリーダーシップを取るタイプだから、1年生の誰もが快く送り出す。
しぶしぶ前へと向かう菊地弟。
それと同時にみんなの視線も教壇へと戻っていく。
「じゃあチームリーダーは俺ら2人でやりまーす」
「…最悪だ。」
「俺だって最悪だっつーの」
そんな2人のやりとりに、弟が入ったことによって1年生にも笑いが起きる。
「じゃあ次、チーム名を決めます。ほら、お前黒板書いてけよ」
「…最悪だ。」
「チーム名はなんでも好きな感じでオッケーなんで、どんどんアイディアお願いします。1年生も遠慮せず参加してねー」
なんだかんだでしっかりリーダーになってる、菊地先輩。
……頼もしい。
3年生から出される案はどれも面白くて、1年生も大爆笑。
大爆笑をするみんなの中、私はどうしたってフワリくんに視線が向かう。
眉毛が下がる笑い方。
捲くっているシャツから出ている腕が男らしくて。
私よりもずっとずっと大人の人。
そんな風に見えてしまう。
結局チーム名は、スーパーマリオブラザーズをかけて『スーパー菊地ブラザーズ』になった。
こうして体育祭の準備は本格始動。
これから毎日、楽しみだな。


