「多分もう来るから、大丈夫。」
「……ハイ、」
優しい人。
暗くて、表情なんて全然見えないけど。
優しさは、……灯りがなくても、ちゃんと届く。
「座って待ってよ、」
「ハイ、…」
怖いから、なるべく周りを見ないように、フワリくんの手だけを頼りに着いていく。
「足元、気ぃつけてね。」
「ハイ、」
作業に使う道具や材料が、足元にはたくさん置いてある。
さっきは思いっきり転んだけど、今はフワリくんがいるから慎重に動ける。
「この辺、座って待とう、」
「、…」
なにもない壁際に……2人で並んで座った。
暗くて怖いけど……少し、落ち着いてきた。
隣のフワリくんへのドキドキも、感じるようになってきたから。
繋がれた右手が、……今更恥ずかしい。
暗くてよかったって思うくらい……ドキドキしてきた。
「……ア、ノ、」
「ん、?」
「……スミマセン、……私のせいで、……こんな、ところに、」
美術室は1階にあるから、フワリくんはすぐにだって外に出ることができたのに。
こんな気味の悪い階で、私のせいで時間を持て余してて……申し訳ない。


