フワリくんが出て行った教室で、座り込んで、クモの巣作りを続けた。
筆は……本当に必要だったのか。
だってもう、18時は過ぎている。
今から絵に色を塗ったって、すぐ片づける時間になるのに。
フワリくんは、ここから逃げたかっただけ。
私の傍にいるのが、いやだっただけ。
何度も突きつけられる痛みに……もういい加減、慣れてほしい。
ついたと思った免疫なんて……全然、どこにもついてない。
いつもいつも……ちゃんと痛い。
毎日毎日……胸がイタイ……
それから……フワリくんは全然戻って来なかった。
時計の針は、18時45分をさしている。
もう帰る準備をしないと、19時になっちゃう。
こんなに痛い胸の中でも思い出すのは、もりりんが言っていたあの怪談。
5階の見回りをしていた先生の……19時の、怖い話。
「、、……」
フワリくんのことばかり考えていたから気づかなかったけど……もしかして、周りの教室、もうみんな帰ってるかも。
だってすごい静かだし……誰かが廊下を歩く気配もない。
「、…」
急に怖くなって、すぐに片づけをしなきゃって、焦る。
もしかしたらフワリくんも、もう戻ってこないかもしれない。
よく見たら、鞄、ないし。
とりあえず片づけて、ダッシュで帰ろう。
それでギリギリ19時には、間に合うはず。


