「じゃあまずはチームリーダーを決めたいんだけど、やっぱりリーダーは3年生がやるべきよねぇ?」
いつの間にかフワリくんはお友達と遊ぶのをやめて、両足をイスに上げたまま黒板をじっと見ていた。
あぁ……こんなにもフワリくんを見放題の時間があるなんて。
これは夢なんじゃないかな……
夢かと本気で思った私はほっぺをつねる。
だけどふわふわとした夢心地の中、いくらつねっても痛みを感じることはない。
「菊ちゃんでいいと思いまーす!」
「はぁ!?おま、」
「私も菊でいいとおもーう」
「はーい、チームリーダーは菊で決定ね。じゃあ前に来て、早速リーダーシップを取ってねー」
「んだよもう、お前ら仕組んだろっ!」
有無も言わさぬ即決。
しぶしぶ教壇へ行くチームリーダーのお尻を、通り際にフワリくんがポンっと叩いて見送った。
チームリーダーが教壇に立つだけで賑やかになる3年生たち。
仲、いいんだな。
お祭りクラスなだけあるなぁ。
「えー、なんかハメられてチームリーダーになった菊地です。とりあえず」
言葉を止めた菊地先輩は、ギロっと教室内を見渡した。
そして大きく息を吸い……
「体育祭、ぜっ……たいに優勝するからな!」
響いた大きな声に、3年生は大歓声。
「なにがなんでもこのチームでバーベキューするぞっ!」
「「「「うおおおおお……!!!」」」」
体育祭、
恐るべし……。


