『また明日ね』


期待なんてしない。


だって私はもう知っている。


期待をするだけ、その分、絶望は大きくなる。


悲しい気持ちが増えていく。


期待なんかするから……いっぱい、泣くことになる。


なのに。


期待なんてしていない今だってもう。


遠くなっていく背中を見つめるだけで……涙がぽろぽろ止まらない。


なんなのかわからない……我慢し続けた涙が、……全然止まらない。


遠くに消えていった、大好きな人の姿。


息を吸って涙を拭って……ただいまを言う準備をする。


ただいまって言うくらい簡単に、ありがとうございますを言えるようになりたい。


言葉がうまく言えない不自由な私は、全然ダメ。


全然、……こんなんじゃ、全然……




部屋に入ってベッドに顔を伏せたら、また涙が出た。


だけどこれ以上はもう泣かない。


『また明日』が来たとき、腫れた可愛くない目は見られたくない。


期待しないのに、……勝手に期待してる、『また明日』。


今日も矛盾だらけの恋は、やっぱりどうしたって、終わりそうにない。