自転車の上の温もりが、もう恋しい。


好きな人には触れていたいんだって……初めて知った。


一目見れただけで幸せだった日。


話せただけで幸せだった日。


並んで歩けたことが幸せだった日。


今は……少しでもって……思ってる。


少しでも……フワリくんに、触っていたい。


触りたい……なんて。


私はやっぱり変態になっちゃったのかなって。


今まで感じたことのない想いに、戸惑う。



「じゃあ、ね。」

「ハイ、……気をつけて、帰って、クダサイ、」

「うん、」



ペダルに足を掛けたから……お別れの時間。



「また、明日ね、」

「ハイ、」



また明日ねって笑ったフワリくんは、元来た道を引き返して消えていく。


やっぱり反対方向だったんだって、申し訳なくて。


あっという間に手も届かない距離に、胸がぎゅっと掴まれて……痛い。