「桑野おま、ぜってぇ佐伯2号!……ぜってぇ先輩に嫌われるタイプ!」
嫌われるタイプって山本先輩は言ったけど、桑野を嫌っているようには全然見えない。
確かに桑野の言い方は生意気だったかもしれない。
でもここにいる先輩たちは、そんなことで人を判断したりしない。
もうわかってる。
ピアスいっぱいで怖そうな山本先輩も、天然で空気の読めない雄介先輩も、掴みどころのないフワリくんも、しっかり者の菊地先輩も、一見怖そうなあずりん先輩も、癒しオーラ満載のスー先輩も。
みんな、すごくあったかい人。
出会えてよかったって、思わせてくれる人たちだから。
この日は住人設定を決めて、フワリくんが部屋の絵を描くことを了承して解散になった。
話し合いが終わったのは、18時半。
他のグループはもう解散したみたいで、5階に残っていたのは私たちだけだ。
「うっわ、誰だよ廊下の電気消したの」
ゾロゾロと歩く廊下は、電気が消えていて薄暗い。
「外、もう暗いですね」
「日暮れるの早くなったよなー」
みんながゾロゾロと、廊下を進む。
そんな中。
私はあることに気がついて、ハッとして後ろに振り向いた、……ら。
「……ん?」
「、…」
真後ろを歩くフワリくんと、目が合った。


