チームのみんながバラバラに散らばっていく。


帰ろーって声とか、なんか食べに行こーって声が、色んなところから聞こえてくる。


そんな中、私の耳に一際大きく聞こえたのは。



「高橋ー!ちょっと来てー!」



あずりん先輩が、私を呼ぶ声だ。


急いで駆けていくと、そこにはフワリくんと、旗を持つあずりん先輩がいた。



「いい、って、!」

「ダメ。こんな面白いもん他にないんだから」

「や、……無理、だ、から!」

「無理とか関係ねぇ。これは私の高校生活の思い出の1ページに刻まれるの!」



駆け付けた場所では、あずりん先輩とフワリくんが揉めていた。



「、…ななちゃん、絶対、迷惑、だって、」

「だーかーらー、迷惑とか関係ないの!体育祭史上こんな面白いもの、記念に残さないバカがどこにいる!」

「お、前の記念とか、……どーでもい、」

「ほらほら、とっと撮って帰るよ!私もうお腹空いてんの!」



呼ばれたのに、会話についていけない私はただ立ち尽くす。