「ねー、今のうちトイレ行こう」

「おう、行こう行こう!」



もゆぴーと聡美たちに続いて、ゾロゾロとトイレへ向かう。


ツインテール、解いてもいいかな……



「あ、ダメ、とらないで!」

「え、なんで、」

「ほんと可愛いから、今日は萌え系アイドルキャラでいこう」

「じゃあ生写真とか売ってみる?」

「……絶対面白がってるよね」

「だって男女交際禁止なんでしょ?それくらいのキャラ作んなきゃー」



わいわいと大盛り上がりのみんなが、トイレに入って行く。


トイレは別に行きたくなかったから、私は1人で外で待ってた。


だって入ってるうちに、フワリくんが近くを通るかもしれないし。


なんて、都合よくいかないか。




「で?佐伯にはちゃんと言ったの?」



「、…」



トイレの……死角になってる壁のすぐ横から、聞こえてきた声。


菊地先輩の、声……


しかもこの会話の内容って、もしかして……


もしかして、っていうか……絶対。


どうしよう……聞きたくないのに、動けない。



「言った、けど。」

「佐伯、なんだって?」



「、…」



あずりん先輩は……なにを、答えたの。



「キレ、て、た。」

「は?」

「あずさのこと、ずっと考えてるって、……言った、ら……キレて、喚いて、」

「、…」

「そっから、無視。」

「なんだそれ」



ずっと……考えてる……って……


知ってたけど……フワリくんがあずりん先輩を好きなことくらい、知ってたけど。


突きつけられる現実は……やっぱり相当厳しい。


誰かの恋を、こんなにも悲しい気持ちで目の当たりにするなんて……