「うっし、今日も捜すかぁ!」

「ななの愛しのフワリくん、捜しましょー!」

「つーかフワリくん何年生よ」

「それがわかんないから毎日捜索してんじゃーん」



私の友達たちは、彼のことをフワリくんって呼ぶ。


聞かれた彼の特徴に「髪の毛フワリ」って答えたら、いつの間にやらフワリくんになっていた。


フワリくん捜しに付き合ってくれる友達たちは、高校に入学してから出来た友達ばかり。


人の恋に協力的で、どこまででも付き合ってくれる女子パワー全開の頼もしいクラスメイト。



「んー、つーか情報少なすぎ。髪の毛フワリで横顔素敵って、なによそれ」

「さっぱりわかんないってね」



みんなは毎日フワリくんを捜してくれるけど、見つけたことは一度もない。


フワリくんはすんごく優しさが滲み出ているオーラを醸し出しているんだけど。


それを言っても、全然みんなには伝わらない。




「わかった、じゃあさ、玄関で見張ろうよ!」



飛び出たアイディアに、みんなが目を見開く。



「それいーじゃん!」

「帰るとき絶対通るもんね!」



フワリくんを捜すのにもはや生きがいを感じているみんなは、急いで鞄を手に取って教室のドアへ駆け出した。



「ななっ、早く!フワリくん帰っちゃうよ!」

「う、うん!」



自分の鞄を持ち、みんなの後に続く。


けど。


でも待って、玄関て、本当にフワリくんに会えそうじゃない?


待って待って、私、今、顔とか大丈夫!?


か、鏡が見たい、!