「さ、1年生のお嬢さんは何組なのかなー?」

「5組、です……」



あずりん先輩に促され、私たちは渋々立ち上がる。


愛原さんの肩に腕を回したあずりん先輩は、そのまま道連れに無理矢理歩きだしていった。



「……あいつ、どんだけ迷惑。」



2人が先に行ったせいで、思いがけずフワリくんと2人きり。


飲みかけだったイチゴミルクを持って、私たちも歩きだす。



って、思ったんだけど。


フワリくんが、動かない。


あれ……



「あずさ、行ったし。俺まだ、休憩時間だし。」

「……」



座り直したフワリくんが、隣のイスを引いた。


さっきまで、愛原さんが座っていた席。



「あと10分、ここにいよ?」

「……」



思わず握ってしまったイチゴミルクから、中身がプシュっと飛び出した。


手の上に、薄いピンク色が零れてしまう。



「ふは、…なんで?」

「…、」



零れたイチゴミルクに笑うフワリくんが、あんまりにもかっこよくて可愛くて。


今度は違う意味で、泣きそう。