「高橋ー、休憩すんなら誘ってよー……って、なに。どした?」

「、なんでも、ないです」



本気で泣きそうだった。


だって今まさに、2人はさっきの続きを話しているはずだから。



どうしよう。


手を繋いで歩く2人を見ることになったら。



どうしよう。


体育祭、カップルになった2人が仲よさそうに笑っていたら……



そんなの絶対、泣くだけじゃ済まない……




「、…」

「あー、そうねー。そうだよねー」



あずりん先輩が……ぶつぶつと、なにかを言っている。



「よし。行こう」

「え、どこ、」

「すーぐるー!」

「、…」



私の手を握り、あずりん先輩は歩きだす。


2人の元へ……。



さっきまでいた場所に、あっという間に戻ってきた私。


あずりん先輩がドカっと座ったあと、私もほんの1分前と同じ場所に座らされた。



「もー、私体育の授業で既に筋肉痛なんだけど。いくら若いからって当日筋肉痛になる?異常よ異常、私の体絶対異常。なにこれもしかして肉離れ?ちょっとやめてよー、私不在の体育祭とか絶対優勝できないでしょ。なんたって男がなまっちょろいからねうちのチーム。もっと頼りになる男はいないもんかねー」


「頼りになる、男、」

「そう。声を張り上げて体育祭を盛り上げてくれるようなー、」

「瞬くんみたい、なんか。」

「……。」



地雷をあっけなく踏むフワリくん。


怖いもの知らず、だからか。


それとも嫌味、なのか……