三人で入った学食で、窓際の席を目指す。
最初に座ったフワリくんの隣を、あの子がすかさずキープ。
だから私はフワリくんの正面に座って、イチゴミルクにストローを刺した。
「はい、ななちゃん。」
半分にちぎったチョコパンが、差し出された。
「い、いん、デスカ?」
「俺も前、もらったし。」
「、…ありがとう、ございます」
前にあげたのなんて、たったひと口だったのに。
こんなにもらっていいのかな。
「愛原さんも、食う?」
「……ありがとうございます」
愛原さん、……っていうんだ。
フワリくんは、名字で呼んでるんだ。
なんだろう、ものすごく、ホッとした……
「あ、でも大ちゃん先輩のぶんなくなっちゃうから、やっぱり大丈夫です」
「……」
わ、私がもらい過ぎってこと!?
そうだよね、半分もなんて、もらい過ぎだよね、
「じゃあ私の半分、愛原さんに、」
「いーよ。それ、ななちゃんのだし。」
「いや、でも、」
「これ、全部愛原さん食っていいよ。」
「……でも、」
「俺、教室にまだパンあるし、いいから。」
先輩に、パンを恵んでもらう後輩2人。
なんなんだろう、この不思議な図は……。
「…いただき、マス」
もしもここに私がいなかったら、2人はどんな話をしていたんだろう。
もしかしたら告白とか、してたのかな。
体育祭はカップルが増えるって、あずりん先輩も言ってたし。
だとしたら愛原さんにとって、今私、ものすごく邪魔なんだろうな……
でも。
譲れない……
好きが大きすぎて……譲れない。


