「喉渇いたから飲み物買ってこよっかな」
「んー、行ってらっしゃい」
「なんか飲む人ー?」
「私もう買ってあるから大丈夫」
「私もあるー」
「じゃあちょっと行ってくるね」
コーヒー牛乳を買っちゃおうかなって、考えながら階段を下りた。
ミサンガはお揃いじゃなくなったから、せめてフワリくんがいつも飲んでるものを飲みたい。
そんな些細な願いは、1階の自販機の前で見事砕けることとなる……
ガコン、
コーヒー牛乳を押そうと思ったのに、向こうに見えたものに動揺して隣のイチゴミルクを押してしまった。
だって……
向こうから、フワリくんと谷ぽんの友達のあの子が、歩いてくる。
この間と、立場は思いっきり逆転……
2人が私の後ろを通るとき、気づかれたくなくて、タイミングを計るようにしゃがんでイチゴミルクを取りだす。
早く……
早く通り過ぎて……
「ななちゃん?」
「、…」
なんで。
立ち止まるの……


