運動は、こう見えても結構得意だから。
フットサルだって、いつもならもっと上手くできるはずなんだけど。
恋って、時にものすごく体を不自由にする。
だって好きな人が見てるってだけで、体がいつもみたいに動かない。
運動が苦手な女の子みたいに、全然、動かない……。
体育祭の競技は結構、恋する乙女にはハードルが高いものばっかりだ……
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「ななっ、ななっ」
体育の時間が終わったあと、みんながすごい勢いで私の周りに集まってきた。
体育館を出る所で、囲まれた私は足が止まる。
紺色ジャージ姿の輪っかが、体育館のドアの横に出来上がった。
「どうしたの?」
「フワリくんてななのこと好きなの!?」
「……。」
ん……?
「だってなにさっきの!なんで2人で座ってたの!?」
「『ななちゃん借りていい?』って、なにあれ!」
「あれ絶対好きでしょ!好きじゃなきゃやらないでしょ普通!」
「きゃー、やだ両想いじゃん!」
「や……あれは……」
あれはただ、あずりん先輩に怒られたから謝りにきてくれただけで。
おかげで仲直りは出来たけど、
でも隣にいたら感じたもん……チラチラってバレーを見るフワリくんの気持ちを、感じたもん。


