「いいよ、俺、持つし。」
「スミマセン、…」
「うん。」
重いポールも1人で持てちゃうフワリくんは、やっぱり男子。
朝倉先輩みたいにガタイはよくないけど、私なんかより、よっぽど力持ち。
残っていた点数表を見つけて、それを押して私も用具室に向かった。
あずりん先輩たちはもう用具室から出てきてて、今度はフットサルの準備を始めている。
ガラガラと音を鳴らして、点数表を押して、用具室に入る。
「あ、れ、」
「え?」
中にはフワリくん1人だけで、入ってきた私を見て目をパチクリさせた。
「ななちゃん。」
「は、はい」
「それ、フットサルでも使うんじゃ、ない?」
「……」
「……」
「え!?」
よく考えれば分かること。
フットサルだって点数表は使う。
最悪だ……。
コピーしたものを学食に忘れたときに続いて、フワリくんの前でまたしても……
「ウケんな、ななちゃん。」
嫌われるよりはマシだけど、笑われるってどうなんだろう。
面白い子と思われてるって、プラスに考えていいのかな……
「なんでそんな、可愛いの、」
「……」
え?
可愛いって、……言った?
今、私のこと、
「行こ。」
「ハイ、…」
点数表はフワリくんに奪われて、ガラガラ押してくれている。
もしかしたら、一生終わらないのかも。
どんなに倒されても、踏み潰されても……
この恋は、一生、死ぬまで、終わらないのかも。


