なにも喋らない私と、なにも言わないフワリくん。
隣同士のはずなのに、心の距離は、うんと遠い。
卓球の合間に、あずりん先輩が出ているバレーをチラチラ見るフワリくんが……苦しい。
見たいなら、移動してもっと近くで見ればいいのに。
わざわざこんな遠くまで連れてきて、私の隣でそんな風にチラ見しないでよ、って。
視線の行方がわかってしまうこの距離が、今はツライ……
「衣装、間に合いそ?」
「……ハイ、」
「そ、っか。」
ありきたりな、無難な会話が胸を痛める。
「旗は、間に合い、ますか?」
「ギリ、ね。」
「、…」
笑った横顔が、胸を痛める。
今は何を見たって、何を聞いたって、全てが胸を痛めるんだ……


