「あずさ、に……怒られ、た。」
「え?」
「女の子泣かせんじゃねぇって……蹴られた。」
「……」
来てくれたのは、あずりん先輩に言われたから。
拗ねてるのは、あずりん先輩に怒られたから。
フワリくんの意思で来てくれたわけじゃないんだ。
好きな人に怒られて……渋々来た、だけ。
「ごめん、ね。」
「……イエ」
「……」
「、…」
ぎこちのない私たちを、バレーの歓声が包む。
かっこいいあずりん先輩に向けられている歓声が、私たちを包む。
抱えた膝に顔を埋めたいけど、隣にフワリくんがいるから、そんなこともできなくて……
ただぼぉっと、少し離れた卓球を見た。
終わったと思っていた恋の相手と、隣合わせで座る私の恋は……
やっぱり全然、終わりそうもない。


