「きゃー!あずりん先輩かっこいいー!」
「ナイスレシーブでーーす!」
あずりん先輩はこの短時間で大活躍。
背も高くて力もあるから、現役バレー部に負けず劣らずの迫力だ。
かっこよくて頼りになるあずりん先輩に、私の友達たちはみんなメロメロ。
黄色い歓声が沸いて、みんなが試合に集中している―――その時。
後ろから、ジャージをグイって引っ張られる感覚がした。
みんながあずりん先輩に夢中の中、私だけが振り向いた、ら、……
「、…」
「……」
フワリくんが、私の後ろにしゃがみ込んでジャージを引っ張っていた。
なん、で……
「……ななちゃん、悪く、ない。」
「…ぇ、」
ジャージの裾を掴んだまま、聞こえた声……
「……俺、なんも、怒ってない、から。」
「、…」
そう言っている口調は、拗ねている子供みたい。
少し唇を尖らせて、言いたいことがあるのに上手く言えない、子供みたい……
「ななちゃん、なに、出んの。」
「ぇ、」
「フットサル?」
「ぁ、はい」
私の後ろにしゃがむフワリくんは、何かを考えながら鼻をポリポリ掻いている。


