「もー、卓球とか体育でやんないのになんで体育祭でやるかなー。ラケット見当たらんわー」
「…………」
「おいコラ!ぼけっとしてないで早く探せ」
「……んな怒ってばっかだと、老けんぞ。」
「蹴り飛ばすぞ」
2人の声を聞きながら、私はラケットを探し続ける。
一刻も早く、ここを出たいから。
「なに、御機嫌斜めねすぐるくん。妙に突っかかってきて、珍し」
「……」
「穏やかなすぐるくんを御機嫌斜めにさせちゃってるのは、どこのダレ?」
そうだ。
フワリくんは穏やかな人。
誰もが認める穏やかなフワリくんが……こんなに機嫌を損ねてるって、
私の、せい。
私、相当怒らせてるんだ。
どうし、よ……
「あ、の……」
フワリくんは朗らかで穏やかって、林先生も言っていた。
なのに……
「私、の、せい、……」
「え…」
「……は?」
どうしよう、
泣きそう……
「あ、朝倉、先輩の、サイズ、」
声が……体が……震える……


