「高橋ちゃーん、あずさに掴まっちゃった?」

「はい、見ての通り、」

「高橋非力そうだけど、可愛い子がいたほうが男共のやる気になると思ってね」

「あはは、そんな理由」



ゾロゾロと、馴染みの3年生たちが用具室に向かってる。



「運ぶもの、いっぱいあるんですか?」

「そう、いっぱい。バレーのネットとかポールとか、点数盤とか、2組ずつ出さなきゃで」

「バレーやるんだ、今日」

「前半はバレーと卓球。後半はフットサルだってよ」



この学校の体育祭の競技は少し変。


グラウンドでの陸上競技や綱引き、借り物競走とか騎馬戦なんかもあるけど、体育館での球技なんかもやるから、全部で2日間をかけて開催される。


なかには部活対抗リレーっていう最も笑いを誘うものがあるらしく、まだ1度も見たことのないその競技に、私は今からわくわくしている。



「あ。忘れてた」



あずりん先輩が、立ち止まる。


スー先輩が部活対抗リレーの面白さを説明してくれてるから、私たちはあずりん先輩を置いて歩き続ける。


けど。




「すぐるーーーーー!」




声は……私の心臓にまで響いた。



なに。



なんで、呼ぶの……