「ところで伊集院は?」
「えーと……」
そういえば、ヨッコの姿が見当たらない。
どこに行ったんだろう?
「あ、いた」
「……?」
あずりん先輩が目を向けた先に、見えたもの。
ヨッコ……いつの間に。
「なにあれ。付き合ってんの?」
「いや、まだだと、思い、マス。」
菊地先輩と壁際に座って、楽しそうに話しているヨッコが見える。
そんな2人の邪魔は、誰もするはずがない。
この人、以外。
あずりん先輩が大きく息を吸い込んで、
「きーーーーくーーーー!いじゅういんーーーーー!」
「!?」
容赦ないあずりん先輩の声は、確実に2人に届いた。
だって菊地先輩とヨッコが、2人同時にこっちを見たから。
あずりん先輩はそれ以上声は出さずに、親指で用具室を指す。
『お前らも来い』
親指から聞こえたであろうその声に、菊地先輩とヨッコは苦笑いで用具室に歩き出した。
「スーちゃーん!雄介ぇぇぇ!」
馴染みのメンバーが、続々あずりん先輩に呼ばれてる。
誰がどこにいるのかすぐに見つける嗅覚は……すごい。