「、…」
取りに……行かなきゃ。
でも……避けられたのに、近づけない……
「お前、自分で持ってけよ。」
「ごめんごめん、丁度雑用ちゃんが見えたからさ」
文句を言いながら、フワリくんが球を手に取った。
取りに行こう……そう思ってた……けど。
「ヤマ、ここ置いとくよ。」
「おう、わりーな」
「、…」
球は……フワリくんの近くの、誰かの鞄の上に置かれた。
私はきっと……また避けられた。
届かないのなら、
叶わないのなら、
やっぱり忘れてしまいたい。
忘れたくないと思っていたのは、フワリくんが笑ってくれていたから。
声を、掛けてくれたから。
避けられるなら……嫌われるなら、
こんなの、もう無理だ……