ポーンポーンって、フワリくんの奥に座る山本先輩が、野球の球を上に投げてはキャッチして遊んでる。
フワリくんは旗に視線を落としたまま、もうこっちを見ようとしない。
「菊ちゃーん、弟の恋応援してやれよー」
「ちょ、なに言ってんすか雄介先輩!」
「はー?恋?勝手にやってろ」
全然耳に入らない会話の横で、私はただ立ち尽くす。
避けられたってことは……嫌われたってこと……?
「、…」
……痛む胸が、ズキズキうるさい。
「あの、雄介先輩、……」
「ん、なになにー」
早くここから、逃げ出したい。
「朝倉先輩って……どの人、ですか」
フワリくんの傍から、離れたい。
「朝倉?あの窓際にいる、でかいやつだけど」
雄介先輩が教えてくれたのは、やっぱりさっきフワリくんが話していた先輩だ。
「ありがとう、ございます」
お礼を告げて、朝倉先輩の元へ向かう。
窓際で話す先輩たちの中に行くのは勇気がいるけど、サイズを聞かないわけにはいかないから。
フワリくんはさっき、朝倉先輩となにを話していたんだろう。
サイズを聞いてくれたのかと思ってたけど……その答えを、私は教えてもらっていない。


