「きくりーん。君わかりやすすぎるよー」
「ちょっ、なに言ってんすか雄介先輩!」
2人の会話は、私の耳にはもう届いていなかった。
だって私の目は、少し先で立ち止まっているフワリくんと……合ったままだから。
フワリくんは、どうしてかそれ以上足を進めない。
目は合ってるのに、こっちには……来ない。
「いいねー、1年生は初々しくて。お似合いお似合い」
どう……すればいいんだろう。
目を逸らしたら、感じ悪い。
でも私の心臓は……これ以上目を合わせるのに、耐えられない。
耐えられなくて逸らそうと思った時……先に視線を外したのは、フワリくんだった。
ふっと逸れた視線……
フワリくんの足は、そのまま旗係に向かっていって、作業をする床に座り込んだ。
なんか……もしかして、
今、私……、避けられた……?


