大好きな横顔が、すぐ隣にある。
見つめることもできない距離が、今は苦しいくらい近すぎる……
「……ケンカ、した?」
「……」
フワリくんが、遠慮がちに呟いた。
ケンカ……。
誰が……誰、と……?
「彼氏と、……ケンカ、したんかなって。」
「……かれ、し……。」
「……うん。」
「誰、の……?」
フワリくんは、一体なんの話をしているのか、
全然分からない。
「……ななちゃん、……泣いてる、っぽかった、って。」
「……」
「昼、……菊が。」
「あ……。」
お昼休みにヨッコと菊地先輩に会ったときのこと、菊地先輩からフワリくんに伝わったんだ。
え、でも彼氏……って?
「学食で、菊の弟と……話してた、から。」
「……っ!ち、ちが、……!」
そうだ、私は菊地弟と付き合ってるって思われてるんだった!
あずりん先輩のことで頭がいっぱいで、すっかり忘れてたけど……
「全然、あの、彼氏なんて、」
「……」
「い、いません、彼氏、とか、!」
はっきり言いきることが出来たのは、そんな勘違いをされたくないから。
彼氏はいないって、伝えたい想いのほうが緊張より大きかったから。
「、…そ、なんだ。」
「…、」
でも、フワリくんにとってはどっちだっていい話。
嬉しそうな顔をされるわけでもないし、ただコーヒー牛乳の続きを飲むだけ。


