「まぁ佐伯は人の前では笑ってばっかだからねー。いや、怒ってばっかか」
「、…」
「でもそうやって人の前で見せてる顔が、全てじゃないんじゃないかな?」
「あずりん先輩の、他の顔?」
ずっと黙っていたヨッコが、想像するように呟いた。
「佐伯だって一人になったらたくさん泣いたと思うよ?失恋して簡単に笑えるほど、できた人間なんていないと思うから」
もし、林先生の言っていることが真実なら……
春田先輩のことを好きにならないほうがよかったって、あずりん先輩も思ったことがあるのかな。
私と同じ気持ちに……なったのかな。
「いい歳した私ですら、恋愛ごときでしょっちゅう泣くからね」
「え、うそ!」
「これが嘘じゃないんだなー」
「泣くって、なんで?」
「理由なんてみんなと大して変わらない。好きな人が冷たいとか、浮気してんじゃないかーとか。それこそ失恋したーとかね」
「えー……!」
「私の友達なんて、この間失恋して寝込んでたから」
「…、」
大人の恋も、私たちと変わらないのかな。
人を好きになることって……ずっと、同じなのかな。


