今日初めて掛けられた言葉は、『ななちゃん』。
ドキドキを抑えるため、雄介先輩に貰ったチョコを折れそうなくらいギュッとしてしまう。
「ななちゃん、肉まん、いいの?」
「…ハ、ハイ」
どうしよう、フワリくんが笑ってくれて、声を掛けてくれて嬉しい……
けど……。
他の人を想っているフワリくんの傍にいるのは……嬉しいのと同じくらい辛い。
だって、向けられる笑顔のその奥に、1人の女の子を大切に想う気持ちが見えちゃいそうで……
「なに食べんの?」
「あ、まだ……」
「カレー。んまいよ」
「…、」
傍にいたいのにいたくない、なんて。
私の想いは勝手すぎる。
あずりん先輩みたいに、好きな人が他の人を好きだっていう現実を受け入れられない。
子供すぎる私の恋愛は、自分勝手の塊だ。
「行こ?ななちゃんの席、なくなっちゃう」
「、…はい」
歩きだしたフワリくんの後ろを、昨日みたいに着いて歩く。
だけど昨日とは全然違う。
ハッキリ知ってしまったフワリくんの想いに、気づかないふりをして平気な顔を装う。
今はそれだけで精一杯だから……


