「肉まんあと3分くらいで蒸しあがるって」

「……ん。」



場所を移動したのか、フワリくんたち4人の会話が少し聞こえてくる。



「大ちゃんも肉まん買いにいくんだよね?じゃあ私さきに席取っとくから~」

「んー。」



席取っとくって……なに。


一緒に食べるってこと?


もしかして、彼女?


できた、の……?



「篠田ー、俺の席も取っといてよ」

「わかってるー」



みんなで……食べる、の?


もう、3年生わけわかんない……。



菊地先輩の隣にいた女子もいなくなったみたいで、聞こえるのはフワリくんと菊地先輩の声だけになった。


ここから動けなくなった私たちは、お互いの腕を掴み合って祈るように黙り込む。



「てか大ちゃんさー、このままでいいの?」

「ん、なにが?」

「佐伯のこと」




「…、」



聞こえる会話がよりにもよって、それって……。


聞きたくないのに、この場所から動けないから嫌でも耳に入ってくる。