「なんか高橋さん、すごい佐伯に気に入られてるでしょ?」
「…、」
フワリくんと一緒にいる時は、周りを見る余裕なんてないから分からなかったけど。
もしかしたら菊地先輩を見る女子たちの視線みたいに、フワリくんのことをいつも見ている視線もあるのかなって。
考えたら胸の奥がチクっとした……
「ほら、チョコパン、遠慮せず食べて」
「あ、いただき、マス……」
せっかく買ってもらったチョコパン。
食べないのは感じが悪いから、袋をパカッと開けて中身を持ち上げた。
「なんか高橋さんて、THE後輩って感じだね」
「なんだよそれ」
「だってそうじゃん、佐伯みたいにグイグイこないしさ。あいつ後輩には怖がられるし先輩には生意気って思われるし、相当損してるよ、人生」
「いいじゃん、その分同級生からの支持は厚いんだから」
あずりん先輩は、ここにいなくてもみんなの話しの中心になる。
そんな凄い先輩と仲良くなれて、例え恋のライバルだったとしても、やっぱり嬉しい。
私は後輩だけどあずりん先輩のこと支持してますって言いたいけど、とてもじゃないけど発言なんて出来ない……