「佐伯は?学食」

「いやいい。私もう衣装戻んなきゃだし」

「つーかお前衣装とっとと終わらせて旗手伝えや、まじで」

「やだよ、旗なんて男ばっかで暑苦しい。可愛い子が多い衣装のほうが断然いいね」

「おやじかよ」



そっか、3年生が自然にここに集まってきたのは、あずりん先輩がいるからだ。


あずりん先輩は、いつも輪の中心にいる。


男女関係なく、真ん中にいる。


それはきっと、みんながあずりん先輩のことを好きだから。


一緒にいて、楽しいから……



「高橋ー、悪いんだけど私もう衣装戻んなきゃなの。すぐる来るまでここで待っててあげてくれる?」

「え、…」

「ん?大ちゃん来んの?ここに?」

「そう、私の彼女迎えにくんの、ここに」

「彼女って」

「なに?文句ある?高橋は私の彼女なんだからあんたら指一本触れんじゃねぇぞ」



まるで彼女を守る彼氏のように、あずりん先輩は背中に私を隠した。


いつかこの人に……本気で恋をしそうな自分がいるのはなぜだろう。