「あ、雑用ちゃんたち、ご苦労さん」
「……ども。」
すれ違いざまに声をかけられたけど、私はなにも答えられなかった。
だって山本先輩、間近で見たら、ピアス何個開いてんの……。
残された教室の中では、一生懸命旗に色を塗っている1年男子の桑野アキラと、絵の具を調合して独特の色を作り上げるフワリくんがいる。
胡坐をかいて絵の具にまみれるフワリくんは、なんだか可愛い。
写真を撮りたいくらいに可愛いけど……この静けさの中、写真なんて撮ったら一発でバレることは間違いなし。
「………」
絵の具を混ぜるフワリくんの手首に、青色のミサンガ。
私の手首とお揃いの、青色……
胸の奥が、くすぐったい。
「あ。……ざつよー、かかり。」
フワリくんの視線がふっと上がって、私とヨッコを確認した。
なにか、仕事を頼まれる。
そんな視線が向けられている。
だけど仕事を頼んできたのは、フワリくんじゃなくて1年男子、桑野アキラ。
「どっちかさ、本の印ついてるとこ、全部コピーしてきてくれない?」
「コピー?」


