そんなある日の昼休み。


学食前の渡り廊下で、あずりん先輩が男の先輩と話しているところに遭遇した。



あの先輩、見たことある。


誰だっけ。



「あ、高橋」



私に気づいたあずりん先輩が、すぐに手を振ってくれる。


あずりん先輩の隣の先輩も、ポケットに手を入れたままこちらに振り向いた。



目が大きくてクリクリしてて、すごい整った顔。


絶対見たことあるんだけど……


でも知り合いの先輩なんて、3-2の人くらいしかいないし。


3-2には、こんな先輩いなかった。



「じゃあ、俺行くわ」

「うん、わざわざありがとね」

「おう」



片手を小さく上げて、その人は学食の中へ入っていった。

それを見送ったあと、あずりん先輩は私の元へ駆けてくる。



「高橋、1人?」

「あ、中に、みんなが」

「そっかそっか、今日の日替わりはね、カルボナーラだったよ」

「カルボナーラ……」



カルボナーラは食べたいけど、今はそれよりも気になってしまう。