フワリくん……
見つけただけで嬉しい、そんな恋。
あんなに目の前にいたのに、言葉を交わすことはない。
だって彼は私を知らない。
私だってフワリくんのこと、よく知らない。
知らない者同士、交わす言葉なんてなにもない……
「………あ。」
廊下の窓から見える、正門までの道。
歩くフワリくんと、お友達たちが見えた。
傘を持つ1人の男子と、入りきる訳もない3人の男子。
黒いパーカー。
フワリと揺れる髪の毛。
……フワリくん。
おおはら、くん……
遠くだったから、平気だったから、じっと見つめたフワリくんが。
お友達の輪から1歩外れて、立ち止まった一瞬、
「、…」
「……」
こっちを、見た……


