「……雨、やんだ。」
「……ぁ…」
フワリくんが視線を向けた窓の向こうには、雨上がりのキレイな空が見える。
いつの間にかやんでいた雨に、自転車通学のフワリくんは嬉しそう。
こんなにキレイな空を一緒に見られるなんて、夢の中にいるみたい。
でもこれは、夢なんかじゃない……
ちゃんと私は、現実世界にいる…
だってこんなに、胸がドキドキするんだもん。
夢なわけ、ない……
「大ちゃーん、絵がうまく描けないって1年泣いてるー。描いてやってー」
旗係のところから、LINEばかりの雄介先輩が声をだす。
「……ん。」
隣から立ち上がったフワリくんが、私の時間を動かした。
今まで、まるで止まっていたかのような静かな時間だったから……
「……んじゃ、がんばって、ね。」
「……ハイ、」
パタンと閉じた本が、私の机に置かれた。
歩き出すフワリくんの足音が、頭に響く……


