「……なんか、お願い、した?」
「……ぇ、…ぁ、……」
「……あ。体育祭か。そのための、ミサンガ、か。」
「、…」
すっかり忘れ去られていた体育祭に、笑ってしまった。
「……ゆーしょう、できますよーに……か。」
「……ハイ」
本当は、違うことをお願いしたなんて、言えるわけがない。
あなたに気持ちが届きますように、なんて。
言えるわけ、ない……
それからはまた静かになって……穏やか。
ミサンガの本がそんなに楽しいのか、本を読むフワリくんは超真剣。
私はどうにか、フワリくんの隣でミサンガを編む……
フワリくんがずっと隣にいる意味があるとするなら、3年生の教室に1人でいる私に気を遣ってくれただけ。
なんとなく知った顔が……あずりん先輩に可愛がられる後輩が……目に入っただけ。
それでもいい。
今は報われないとか叶わないとか、そんなことよりも……
目の前にあるこの奇跡みたいな時間を、大事にしたい。
フワリくんが笑いかけてくれるなら、私もやっぱり、笑っていたい。


