旗係は、もう床の上で作業をしてる。
なのにフワリくんは、私の隣でまた本を読み始めた。
右の手首がくすぐったい。
目の前にあるミサンガ作りは、今は指が震えるから全然無理。
でも、なにかしてなくちゃ。
黙って隣にいるのは、変。
いや、でも隣に来たのはフワリくんのほうで、私がここにいるのは自然。
フワリくんがここにいるのが不自然。
の、はずなのに。
隣から動く気配のないフワリくんが、本のページを捲ってる。
そんなに熱中するほど、面白い?
「……」
緊張するこの時間。
だけどなんでだろう、フワリくんの隣は、空気がゆるい。
やっぱり穏やかな人、なんだと思う。
なにも話さないし、じっと本を読んでいるだけなのに。
空気はとっても、あったかい……
時間に慣れて、隣に慣れて。
心臓が、静かに、ゆっくりに、戻ってく……
手の震えも収まってきた……
今ならミサンガ……作れそう。
「……雨。」
「……、」
「……やまねぇな。」
「、……ハイ、」


