私が教室に入った時、フワリくんは教室の中にはいなかった。
いつ……戻ってきたんだろう。
嫌なことを考えすぎないようにミサンガ作りに熱中してたあまり、フワリくんが戻ってきていたことに気付かなくて。
「……」
「…、」
合わせることなんて出来ないけど、フワリくんの目が、じっと私を見てる……
質問の答え……待ってるんだ。
質問、答えなきゃ……
「……」
「…、」
「……」
「、……」
「ごめ、俺邪魔、」
「あ、意味っ」
「、」
“ごめん、俺邪魔だよね”って、きっと言われるとこだった。
フワリくんが遠慮して行ってしまいそうだったから。
気づいたら、声が勝手に繋がっていた。
ちっぽけな勇気しかない私でも……
言葉1つでこの人に、少しだけでも近づけるのなら……
「……意味、最初は難しくて、…でも、スー先輩上手で、…教えて、もらって…」
「……」
「……でも、まだ下手、で…」
「うん。」
フワリくんが、笑った……
笑ったその顔が見えて、胸がぎゅーっと悶える。
だけど私のドキドキは、これだけでは終わらなかった。
終わらないどころか……
むしろここからが、始まりだった。


