「フワリくんね、自転車通学だったよ」



休み時間、ミネが最新情報を持ってきた。



「え、そうなの?」

「うん、昨日雨の中、目の前を自転車でシャーっと走ってった」

「自転車……」

「てか3-2で毎日ミサンガ作ってんでしょ?話したりしないの?」



結局、同じ教室にいてもフワリくんの存在はとっても遠い。


あずりん先輩が3年生と話してて、その会話にみんなで笑うことはあるけど。


それだけ。


他にはなにも、ない。



菊地先輩に片想い中のヨッコは、今日の朝電車で菊地先輩と一緒になって、学校まで2人で来たって騒いでた。


会えば挨拶もするし、声も掛けてもらえるようになったみたいで、毎日楽しそう。


友達の恋は順調なのに、私の恋は足踏みばかり。


私とヨッコの差に、頭がガックリさがっていく……



「……あ。」



窓から見える裏庭に、人影が見えた。


背筋がピンと伸びたのは、見えたのがフワリくんだったから。


黒いパーカーを着たフワリくん。


そしてその隣には。



あずりん先輩……