フワリくんに渡せなかったコーヒー牛乳。


帰り道の雨の中、あっという間に飲みほしたコーヒー牛乳は、ぬるくて悲しくて切なくて、やっぱり美味しくなかった。


あんまりにも悲しくて、嫌いになってしまいそうだったコーヒー牛乳のその味も、フワリくんが好きだって理由だけで嫌いになんて到底なれない。



私の恋は、



足踏みばかり……






「授業始めるぞー」



毎日が、ただ過ぎていく。

フワリくんとこの学校にいられる時間は、卒業までって限られているのに。


毎日が、ただただ過ぎていく……



「教科書32ページ開けー。とっとと開けー」



卒業まで9ヶ月。

9ヶ月経ったら、フワリくんはこの学校からいなくなる。


これからもずっと、ここで会える気がしてたけど。


あと、たったの9ヶ月。


9ヶ月経ったら、学食にも購買にも教室にも。


フワリくんはどこにもいない。


校舎を歩く度に会えるんじゃないかって、ドキドキすることもなくなる。


今がずっと、続くわけじゃない。


1年後の私は、ちゃんと笑えているのかな。


フワリくんのいないこの校舎で、笑えてるかな……