高校1年生、春――5月。



桜も散って、入学した学校にもなんとなーく慣れてきて。



ヨッコにミネに聡美(さとみ)に谷ぽんにツモリンにイッカちゃん、友達もたくさん出来て。



それから、移動教室の場所もほとんど覚えて。



学食の賑やかさも購買の人混みも、休み時間の過ごし方も放課後の寄り道も。



全部が体に馴染んできた頃。



たまたま通った渡り廊下で、本当にたまたま、私、高橋ななは一目惚れをした。



生まれて初めての、一目惚れ。



目に焼きついた光景は、彼が柔らかく笑うその横顔と、




フワリって揺れる髪の毛。



自分でもなんでなのか分からないくらい、彼のその横顔に、





私は一瞬で、恋をした……








『ふんわり王子と甘い恋』