高校の体育館よりずっと広いホールで行われる大学の入学式。

新品のスーツを身にまとい、学長先生の話を聞いている私は何故か左肩が気になっていた。それから座っている足元の床も。それがなぜなのか考えてもさっぱりわからなかった。

こういうことは他にもあって、私の大学合格を親や高校、塾、家庭教師の先生方を始め、親戚や小中学校の頃の先生、近所の人、皆が喜んでくれて『本当によく頑張った。』と誉めてくれる。けれど、合格は私だけの力じゃないような気がしてならなかった。

高校生活のことを思い出すと、全体的に(もや)がかかっているように感じてしまうのだ。それをどうしても気のせいだとは思えなかった。

今日も胸元には透明と優しいピンクとパープルのゆめかわカラーのガラス玉がついたネックレスが控えめに光っている。自分で買ったのかそれとも誰かにもらったのか全く覚えていないこのネックレスを見る度、何故か切なくて心がじんわりと温かくなるのだった。