月曜日から日曜日のうち唯一塾も家庭教師もない水曜日、学校が終わると綿星くんの家に行き、2時間ほど勉強をしてから彼の抱き枕になり2時間ほど一緒に眠る。するのはそれだけだ。

一緒にゲームをしたり動画を観たりすることもないし、おやつを食べたりすることもなかった。というか綿星くんが水以外を摂取しているところを見たことがない。

布団からは洗剤の香りすらしないし、部屋も私服も全てがシンプル。白とグレーと透明のものしかない部屋はモデルルームみたいに生活感がないし、パソコンはあるけれどテレビもなければ雑誌もないし、壁にも何も貼っていない。

会話も勉強のこと以外はほとんどしなかったので彼が何が好きで何が嫌いなのかもわからなかった。睡眠欲以外の欲や邪念のない透明な存在のように思えた。