少し乱暴に怒鳴ってみる。


でも、やっぱりそこにはカンヅメがあるだけ。


やだよ……。


壁を乗り越えるんだって。


信頼関係を作るんだって。


そうやって教えてくれたじゃない!!


「ひどい……よ」


知らず知らずのうちに涙が溢れ出し、ヒックヒックとしゃくりあげる。


冷たい涙は頬を伝い、床に落ちた。


向日葵がいなくなることが、こんなに悲しいなんて思っていなかった。


こんな事になるなら、一番最初に、素直に話していればよかったんだ。



「ごめんね? 向日葵……。私、どうしても素直に言えなかった」


グスグスと鼻をすすり、カンヅメを胸に抱きしめる。


こんなことしても、ただ冷たいだけなのに。


「私、学校で嫌がらせ受けてたの。『バーチャル彼氏を持ってる』って、ただそれだけの理由で。笑っちゃうでしょ? でも……そんな時、やっぱり向日葵の笑顔に会いたいって思ったの。たとえ、ゲームが原因の嫌がらせでも、向日葵に会いたいって思った」


私は大きく息をすう。