時折強く、時折子供をあやす母親のように、名前を呼ぶ。


「向日葵? 向日葵ッ!!」


何度も何度も呼ぶ。


でも……。


「どうして……」


向日葵は、出てこない。


まるで、存在自体がそこにないように、光すら漏れてこない。


不安で一杯になる胸の中、不意に悪い予感が浮かんだ。


それは、消去――。


もし、向日葵が消去されてたとしたら?


考えただけで、血の気が引いていく。


もし、お姉ちゃんが、バーチャル彼氏にはまっている私を見かねて消去していたとしたら?


「う……そ」


変な汗が背中をつたい、目の前がクラクラと歪んでくる。


そんなの嫌。


向日葵がもういないなんて、絶対に嫌!!


「ねぇ、出てきてよ!!」