バーチャル彼氏

☆☆☆

館内はあっという間に一週できてしまった。


正直、水族館としては物足りない。


けど……。


チラリと向日葵を見ると、満足そうな微笑。


そして、昨日今日で覚えた単語を使って賢明に話しをしている。


可愛い……。


一生懸命なところがきゅんっと切ない。


「泉……」


「うん?」


水族館から出ると、日は傾き、空はオレンジ色に染まっていた。


「ちゅ……」


へ……?


一瞬、頭の中が真っ白になる。


キラキラとオレンジの光に包まれる中、向日葵は私の唇に、自分の唇を近づけ、『ちゅ』と音を立てた。


い……今のって……?


向日葵が光でなければ。


バーチャルでなければ。


映像でなければ。


私たちの唇は、重なり合っていた――。


それに気付くと、一気に耳まで赤くなる。


「なっ……なにするのよ!!」


そう言い、プイッとそっぽを向く。


「泉、可愛い」


な……!?